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【前田慶子氏コラム】
食具の工夫
~力を引き出し食べたい
思いを支援する~〈1/3〉

【前田慶子氏コラム】食具の工夫 ~力を引き出し食べたい思いを支援する~〈1/3〉

前田慶子氏コラム〈1/3〉

前田慶子(まえだけいこ)

東京慈恵会医科大学附属病院看護部師長
摂食嚥下障害看護認定看護師

慈恵看護専門学校卒業後、慈恵会医科大学附属病院に入職。
整形外科病棟の看護師長時に、栄養サポートチーム専任看護師に従事し、ここでの患者様との出会いをきっかけに、摂食・嚥下障害看護認定看護師を目指す。
現在は、摂食嚥下支援チームや看護師長として、外来・病棟看護師と連携を取りながら日々多くの患者様の食への支援をしています。

患者様の栄養管理や食べたいと思える口腔内環境をつくれるよ
うに、日々多職種と連携しながら臨床で学びを深めております。

1.はじめに

人間にとって口から食べることは、身体機能を維持させるだけでなく、食場面を通した他者とのコミュニケーションにより精神的調和を図ることができる。
また、疾病などにより身体機能・Quality Of Life(以下QOL)が低下しても、残された機能を見極め、機を逃さず食べることへの支援を通して「美味しい」「うれしい」など生きる喜びや意欲も引き出せる。¹)
食具の選択を通し「食べたい思いを叶える」一助となれば幸いである。

2.食具とは何か。歴史を紐解く

 食具とは「食事の用意ができること」「食事に用いる器具、容器、食器」とされ、スプーンやフォークなどの食べるときに使う道具、食物を盛る器などが含まれ²)、食具は人間と自然を繋ぐ最終的な媒介物³)とも表現されている。