介護業界では、早期退職者が少なくありません。
令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書(公益財団法人介護労働安定センター)によると、30歳以上の離職率が12〜13%であるのに対し、29歳以下の離職率は約19%と高くなっており、特に29歳以下の定着に課題を持つ事業者が多いことがわかります。
本記事では、新人が定着しない原因を整理し、定着率を高めるための具体策について解説します。
介護で新人を定着させるポイント
不安や悩みを一人で抱えるとネガティブな気持ちが強まるため、新人を孤立させないことが重要です。ここからは介護現場の新人が抱えやすい悩みについて紹介します。
人間関係
介護職の新人がつまずきやすいのが人間関係です。仕事の悩みを解決し、円滑に業務を進めるためにも、同僚・先輩や上司・多職種とのコミュニケーションが不可欠です。
例えば、以下のような職場では新人が孤立してしまいます。
◾️仕事が忙しい・話しにくい空気があるなどの理由で、悩みがあっても先輩や上司に相談しにくい状況や顔色を伺う必要がある
◾️一方的な指示ばかりで「なぜその対応が必要なのか」と目的を理解せず業務をこなすだけになっている
◾️先輩が自分の時は丁寧な指導がなかったので、厳しく、また失敗を叱るのが当たり前という認識で指導に当たる
◾️緊張して関係性を築くのに時間がかかり、同僚や先輩・多職種との連携がスムーズにできない
そのため新人ができるだけ早く馴染めるようにみんなで配慮し、先輩や上司から笑顔で気さくに話しかけてあげましょう。
労働条件や制度
介護の仕事は体力を使うため、新人は想像以上の疲労を感じる場合があります。特に、移乗や入浴介助などの業務で腰痛や慢性的な疲れに悩まされると「長く続けられないのでは」と不安になってしまいます。
また、介護業界では慢性的な人手不足が続いており、現場の業務負担が重くなっているケースも少なくありません。そのような職場では、給与や待遇の面で、責任の重さに比べて見合っていないと感じる人が多くなります。
ほかにも夜勤による生活リズムの乱れから体調を崩し、仕事への意欲が低下する場合もあるでしょう。少人数体制の夜勤は経験の浅い新人にはプレッシャーを感じやすく、精神的な負担を感じてしまうためです。
さらに、教育制度が整っていない施設では、見て覚えることを求められます。このような施設で働く新人は、業務に自信が持てず、不安が高まります。こうした過酷な労働条件や教育制度の未整備などが重なると、新人が定着しない原因につながってしまうのです。
社内文化や風土
最初から理想通りに働ける新人はいません。厳しく指導することが当たり前というような社内文化や失敗に対して責める風土があると、新人は相談しづらくなります。心理的安全性を担保する風土をつくり、みんなで新人をフォローする社内文化を築きましょう。
すると新人は安心して働けるようになり、必要なタイミングで先輩や上司に相談しやすくなります。相談ができれば、業務への理解や習得が早まり、職場への定着につながるはずです。
リーダーができる介護の新人への対策
上記を実践するためにも、リーダーが率先して新人に声をかける姿勢が重要です。
小さな変化に気づき「困っていることはないか」とポジティブな言葉で聞くだけでも、新人は安心して質問できるようになります。質問しやすい環境があれば、一つひとつの業務への理解が進み、利用者対応にも自信がつくでしょう。
また、新人の教育計画を立て、段階的に仕事を覚えられる仕組みを作ることも大切です。リーダーが率先してチーム全体で新人を育てる風土をつくることで、新人を孤立させない現場の文化が生まれます。
チームで新人を支える文化があれば、新人は失敗を恐れずに挑戦でき、介護職としての成長が見込めるはずです。成長できる現場では、新人の定着率が向上します。
まとめ
介護職の新人が定着しない原因には、人間関係、過酷な労働条件、社内文化など、複合的な要因が絡み合っています。リーダーは新人が質問しやすい風土やみんなでフォローする文化をつくることで、新人の定着率は大きく向上します。
次回は、定着率向上に寄与する「体制づくり」について、具体的な方法を紹介するので、ぜひご覧ください。