「もし集団感染が起きたら」と不安を抱えていませんか。
本連載の第3回では、第1回で解説した「リスクマネジメントの実践方法」に沿って、実際に介護現場で起きた食中毒・感染症の重大事例をもとに解説します。二度と惨劇を繰り返さないための具体的な対策を知り、安全管理にお役立ていただければ幸いです。
実際の介護事故事例をもとにリスクマネジメントを実践
現場で起きた事故の「なぜ」を深く分析し、二度と繰り返さない仕組みへ落とし込む手順を解説します。
【事例1】老人ホームにおける食中毒の発生事例と対策
献立も衛生管理も気を付けているはずなのに、なぜ食中毒は起きてしまうのでしょうか。感染症情報提供サイトの事例をもとに解説します。
【事例の概要】
2016年4月、老人ホームにてサルモネラ属菌(Salmonella Nagoya)による集団食中毒が発生しました。
夕食の「盛り合わせサラダ」が原因と断定され、51人の入所者中11人が発熱や下痢、嘔吐を訴え発症率は20.4%に達し、うち3人が入院を余儀なくされる事態となりました。
【事例の分析】
調理器具やエプロン、手袋の衛生管理不足と、調理動線の不備が原因といえます。施設には下処理室がなく、狭い一区画で下処理から盛り付けまでを行っていました。
生肉とサラダ用野菜が同じ調理台に並べられ、エプロンや手袋の交換・手洗いを怠ったまま作業を続けたことで二次汚染が拡大しました。「いつもこれで大丈夫だった」という油断と、管理手順の形骸化が根本的な要因です。