第4回施設経営者インタビュー 春輝苑 髙木輝久氏
施設の運営、経営の今を読み解く「Management Rules(マネジメント・ルール)」。
第4回は、埼玉県川口市で2003年に設立された、社会福祉法人徳誠会 介護老人福祉施設春輝苑の施設長、髙木輝久氏に施設経営の最前線を語っていただきました。
- 髙木 輝久氏
社会福祉法人徳誠会 介護老人福祉施設春輝苑 施設長
一般介護職を経験された後、2003年埼玉県川口市に特養春輝苑を設立。
2023年度に介護職員の働きやすい職場環境づくり厚生労働大臣奨励賞を受賞。
一般社団法人埼玉県老人福祉施設協議会副会長を務める。
介護職出身ならではの、職員の働く環境への想い
本日は春輝苑様の取り組みについて、いろいろとお伺いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
春輝苑様では、随分前から「人材」という部分にフォーカスして取り組みをされているという話をお伺いしました。当然、少子高齢化や生産労働人口が減少など、日本を取り巻く環境の変化が起点になっていると思うのですが、取り組みに至った経緯をお聞かせください。
私自身は30年ほど前に、一般介護職を千葉県ではじめたのがスタートで、祖父の土地がこの埼玉県川口市にありまして、さまざまな周囲からの援助もありながら、2003年にこの地でこの特養春輝苑を設立しました。
現在、埼玉県全体での特養数は451件、この川口市には30件の特養があります。以前から社会福祉法人の大規模化が提唱される中、一法人一施設のいわゆる小規模特養と呼ばれる法人は全体の5割強と言われています。当法人もその小規模特養にあたりますが、私自身は介護職から今の立場に就いているので、この一つの建物の中での現場の介護職と一丸となって作り上げていく、すなわち施設運営をしていけるところが一番の強みだと思っています。
早いもので当法人は設立から21年経ち、少子高齢化も大きな要因ではありますがそれ以外の様々な環境の変化により、介護職の成り手がかなり減少してきました。企業であれば従業員数にあわせて事業を縮小または価格転換して働き手の待遇を上げるなどの選択肢もあるのかもしれませんが、特養という公的な介護施設の性質上、100床に対しての人員配置も決まっており、さらには利用者の平均介護度も高い状況から、24時間交代制の介護職の人員を減らすわけにはいかないわけです。