井口健一郎氏コラム〈1/3〉
- 井口健一郎(いぐちけんいちろう)氏
社会福祉法人小田原福祉会 理事
大学院卒業後、小学校教員を経て、2009年社会福祉法人小田原福祉会に入職。
特別養護老人ホーム潤生園 施設長
大学での非常勤講師や学会での理事を務める傍ら、FMおだわらでは介護にかかわる様々な疑問・お悩みを実例に基づいた回答とアドバイスをする「市民を介護で困らせない ミンナの介護」のパーソナリティも務め、社会貢献活動にも勢力を注いでいる。
WOWOWドラマ「正体」では介護監修者として介護指導に携わる。
今回は人材不足解消をテーマに、社会福祉法人の理事および特別養護老人ホームの施設長を務めている井口先生に記事をご執筆いただきました。介護業界の現状と課題を深く分析し、超高齢化社会を見据えた将来予測と具体的な対策まで紹介されていますので、ぜひご一読ください。(リフレラボ事務局)
介護現場における人材確保・定着・育成
介護現場の今後の取り組みについて、目先のものだけにとらわれるとくよくよしてしまい、物事の本質を見誤る危険性があると私は感じている。 これから日本が直面する社会は前人未到の超高齢社会である。少し先の未来を考えた事業戦略を心掛けて頂きたい。これから2042年まで超高齢社会が益々加速するでしょう。働き手が減り、仕事が余り、土地が余り、ケアを必要とする人が増え、益々ソーシャルワーク、介護の重要性が増す。未来から見たら人の手でやってもらえる今こそが贅沢な時代になるかもしれない。私も介護現場でショートステイ、特養の一般職を経て、法人の職員や地域の人の介護職員初任者研修コーディネーターをはじめとする専従の介護教員から再び介護課長、人財開発部長、特養の施設長となった。今、振り返ってみれば人材不足の深刻度は私が介護現場に入った15年前とは明らかに違っている。15年前はとりあえず、ハローワーク・コンビニ等で置かれている求人広告でも、ある程度、人は来ていた。普通に僕と同い年の人、20代の人は介護現場にいた。それはうちだけが決して特別ではなく、どこの現場もそうだった気がする。
では、その人たちは一体どこに行ってしまったのだろうかと考えたこともあった。