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【香川寛氏コラム】
現場における重度化と
予防・改善のための
ケアについて
〈1/2〉

【香川寛氏コラム】現場における重度化と予防・改善のためのケアについて〈1/2〉

香川寛氏コラム〈1/2〉

香川寛(かがわゆたか)

特定非営利活動法人リハケアリングネットワーク理事長
一般社団法人日本重度化予防ケア推進協会理事長

作業療法士。介護保険事業、コンサルティング事業、セミナー事業を運営。
ポジショニング、シーティング、ノーリフティングケアを中心に福祉用具の活用法、重度化予防のためのケア技術など、年間200回以上の研修・セミナーを開催。
法人の理念は、『歳をとっても、障害があっても「自分らしい暮らし」が保障される「尊厳のあるケア」が当たり前な地域・社会の実現に尽力する』

現場に寄り添い、介護される方の思いも汲み取り、事例を交えながらの講義で定評がある。

はじめに

 最近、食事の際にムセが目立ってきた、パット交換の際に足が硬く開きにくい、車いす上の姿勢が悪い、便秘気味、尿量が多く漏れが多い、汗かき、などなど、現場で気になることはないでしょうか。
実はそれらは引き起こされている重度化かもしれません。
しかし現場では患者さんの状態としてアセスメントされがちです。
しかもこのような方々へのケアは支援者もけっして楽ではありません。
誤嚥を気にしながらの食事介助、大腿骨の骨折を気にしながらの排泄ケア、たびたび崩れる車いす上の座り直し、3日に1回の刺激性下剤の使用と摘便、そしてその後に起きる便汚染、尿漏れによる全更衣とシーツ交換、多量の汗による皮膚トラブルと脱水への配慮。現場の皆さんに少しでも思い当たる節があれば、もしかしたら重度化により現場ケアの難易度が高くなっている患者さんを支援しているのかもしれません。支援者として、当然起きていることに対して支援をしていかなければいけません。