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【矢吹 知之氏コラム】
認知症ケアにおける
虐待の原因と防止策〈3/3〉

【矢吹 知之氏コラム】認知症ケアにおける虐待の原因と防止策〈3/3〉

矢吹知之氏コラム〈3/3〉

矢吹 知之(やぶき ともゆき)

高知県立大学社会福祉学部 教授

アルツハイマーカフェの創始者べレ・ミーセン氏に師事。認知症の人のピアサポートの場「おれんじドア実行委員」を務める。専門は社会学、社会福祉学、認知症介護
(特に介護家族支援)。認知症とともに生きる社会をつくり育むための研究をしている。
認知症とともに生きるためには、認知症を治す、予防することに注視するだけではなく、社会が変わることを伝え、当事者から学び当事者とともに考える実践に基づく研究を行っている。

認知症の人と家族どちらにも偏らない関わりや支援とは何かを考え続けている。

4.虐待や不適切ケアを起こさない職場環境づくり

●義務化された虐待防止のための体制整備

  2024年4月から、すべての介護サービス施設・事業所で高齢者虐待防止に向けた4つの体制整備に取り組むことが求められています(表)。

表 2024年4月から取り組む必要がある体制整備

❶虐待防止検討委員会の設置
❷虐待防止のための指針の整備
❸虐待の防止のための研修の実施
❹虐待の防止に関する設置を適切に実施するための責任者実施

 これらは、職場全体で取り組むことを義務づけています。形式的に行うのではなく、また押し付けられるのではなく、職員一人一人が「自分の職場が働きやすくなる」と前向きにとらえていくものになっているでしょうか。「どうしたら虐待を防止できるのか」ではなく「どうしたら今よりもっとケアの質を高めることができるのか」と考えて、委員会や研修が組み立てられ運用されていることが大切です。