前回の記事では、介護理念に基づくケア方針の決定はケア自体やチームケアの向上にもつながることを解説しました。この記事では事例をもとに、介護理念に基づいた判断と解決法を紹介します。「介護理念を実際のケースでどう使っていけば良いかわからない」と悩んでいる方への一助となれば幸いです。
介護理念が現場で必要とされる理由
介護理念があると職員が一貫したケアを提供しやすくなるため、現場にとって重要です。介護理念の背景には介護の基本的な考え方である「介護の三原則」があり大切なので、簡潔に紹介します。(詳しくはこちらの記事)
・自己決定の尊重:暮らし方・生き方を利用者で決められるとともに、その決定を尊重する
・生活の継続性:可能な限り生活習慣や価値観を継続できるようサポートする
・残存能力の活用:利用者の「できること」を維持・向上させる
介護理念を判断基準にして解決した事例【利用者本人との意見の違い】
ここからは「利用者の意思決定を尊重する」という介護理念がある施設を仮定して、実際の事例をもとに考え方と解決方法を紹介します。
参照:認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)
Aさん(80歳代、女性)は、2年前に老人ホームへ入所。その後、1年前に転倒し足を骨折して以降、リハビリのため毎週体操教室に欠かさず参加していました。
ある日、ホームで外出レクリエーション(以下、レク)を予定しており、骨折後しばらく外に出ていなかったAさんに職員が外出レクの参加を勧めました。しかし提案を聞いたAさんは急に落ち着かなくなり「私は行かない」と繰り返しました。